彩 愛 美 詩歌集

過去ログ189 2014/9/18 0:25

▼彩 愛 美
Fall Down


夏化粧に疲れた素肌に 9月の風が冷たい
日灼けに褪せて行く 恋の想い出
軽い火傷の跡さえ 重たく感じる
それ程恋は心に 深く刻まれた

その場限りで居たはずでも 恋は恋で
好きになった事実は 直ぐには 消せない

カレンダーのページを 一枚破り棄てるように
簡単に気持ちを 切り替えて違う
恋になんて進める程 強くはなれない


Facebookに浮かれた笑顔を 自慢気に投稿して
短い幸せが ずっと続くと
何処からそんな自信が 生まれて来るのかしら
それ程恋は容易く 成立しない

その場のノリで 形だけの恋に落ちて
私だけが勝手に 舞い上がって居た

対象の居ない 恋愛は存在しない
簡単な図式も 解らなくなる程
恋に落ちてしまったのなら なかなか消せない


秋風に飛ばされてしまう 雲のようにね
形を変えながら 流されて消え行く
恋はもう何処にも 探せはしないのに…


水着のままでは 凌げなくなる肌寒さを
恋愛の終わりだと 感じて居るのなら
ここいらで諦めるのが 潮時なのかもね






2014/9/18 0:25
HP

▼彩 愛 美
秋 月

夏の終わりを
告げるようにして
無造作に伸び過ぎた
道端の雑草がきれいに
刈り取られて

今まで見えなくて
歩けなかった地面が
顔を覗かせている
その道を久し振りに
歩いてみる

雲も 風も
夏色を失くして
着実に秋へと
姿を変えて
過ぎ去ったものになど
振り返り想い返す
事も無いままに

澄み渡る空には
白い月が浮かび
名月の残像を
なぞるようにして
軌線を描いて行く

こんな風にして
月を見上げているのは
秋のせいなのだろうか
何時もよりも
大きく見える月に
時を忘れて
足を止めていた


2014/9/15 8:52
HP

▼彩 愛 美
夜を奏でて


夜の折り紙 綴るページに
金の竪琴 月の音符並べて
夜を奏でて行く 二人のメロディーに
甘く溶け出して行く バニラビーンズ

空気に震える程に 静かな調べ
吐息や鼓動が リズムを刻む

初めてのノクターン ユニゾンして
リハーサルも無しに シンクロする
シンパシー深く 抱き締めて


流星が描く 五線譜に
二人の記念日 夜の星座並べて
指が憶えている 二人のメロディーに
夜の言葉弾ける ポップコーン

唄うように軽やかに 流れる調べ
時間や空気が 静かに止まる

初めてのノクターン 目を閉じても
耳を澄ましたら 伝わる想い
この胸の中に 響き渡る


まるで夢を見ているような快さで
唄う想いが一つに交わって行く夜


初めてのノクターン 言葉よりも
優しく流れる メロディーライン
緩やかな夜の 空気染めて




2014/9/12 23:44
HP

▼彩 愛 美
折り畳み傘

何時も
鞄の隅に
押しやられながらも
持ち歩いている
小さな
折り畳み傘

不意に
雨が降った時にはと
用心のために
持ち歩いている
小さな
折り畳み傘

いざ
雨が降り出したとしても
頭ぐらいしか
守れなくて
服も 荷物も
みんな
びしょ濡れになる

雨が酷くなれば
唯一守られていた
頭だって
濡れてしまう程
役に立たない
小さな
折り畳み傘

役に立ちそうでも
何の役にも立たない
そんな今の自分に
一番似合っていた



2014/9/10 23:15
HP

▼彩 愛 美
夜のサーガ

何万回と名前を 書き綴ったのだろう
何冊のノートを 何ダースの鉛筆を
何年分の想いを 費やしてまで

それだけで気持ち 届く訳じゃない
ちゃんと言葉や形に 出来なければ

一人きりで居る事 片想いを楽しんでいる
そんな訳なんて 無いじゃないの
叶う事ならば あなたと二人で歩きたい


ストリングスの 千切れそうな音に掠れて
夜の静けさでも 聴き取れない程の声
成し得ない恋 想い描けない夢

膨らまない 穴の空いた風船
どんな想いを 吹き込んでみてもね

胸を押さえ痛みを 噛み締めて夜明けを待った
寒さ凌ぐ コーヒーの苦さに
ただ笑うように 涙を流しただけよ


消えそうなキャンドルを 風から守った手
伝わる微かな暖かさに 和んだ夜


一人きりで居る事 良くないのは解っている
だからと言って 行く宛など無く
夢に隠れている あなたの笑顔探していた



2014/9/3 23:42
HP

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