月いろの手紙 SONG NOTE

過去ログ120 2010/8/30 23:20

▼彩 愛 美D
泳げないdolphin
 
この夏が終わりを告げたら
じゃぁまたね 元気で と手を振るけど
もう一度なんて有り得ないままに
元の暮らしに 還って行く

誰もが昨日までの想い出を
チャンネルを替えるように片付けてしまう

私は泳げないdolphinになって
この海の想い出の中から飛び出せずに
逢えないと解っている人の写真を
色が変わるまで 握り締めていた


誰しもが今在る暮らしを
諦めてまで違う生き方なんて
一時的ならまだしも 望まなくて
元の居場所へ 戻って行く

初めて恋したこの海岸を
離れられず最後の一人になってしまう

私は泳げないdolphinになって

終わり行く夏の雲を引いて波音聴き
元居た海へは戻れはしない事を
何処かで感じていたのかも知れない


穏やかな入り江で過ごした数ヶ月の時が
荒波の外海に戻る事を怖がらせている


私は泳げないdolphinになって

誰も居なくなった海岸で沖を見ていた
何時か戻るよりも戻って来てくれると
想いに捕らわれ この海の中へ


*SONG for 麻  美
 
 
2010/8/30 23:20

▼彩 愛 美D
消灯花火
 
はしゃぎ廻った後のバケツの中に
残された燃えカスの空っぽの花火
もう二度と美しい火を灯す事も
無いのが解っていたから…

生温い水の中で ただふやけて行く
意味を持たなくなった名前を
何時までも大切には出来なくて

また同じ夢の出口に辿り着いて
恋の火傷に包帯を幾重にも巻いて
そんな姿 こんな風に 誰にだって
見せたくなんて無かったのに


手に持ち切れない程のたくさんの花火
まさかの一夜で燃え尽きるなんて
どれだけ用意したら未来へ繋がる
明日の恋になるのかな…

永遠なんて言葉は信じないけれど
それでももっと長く続いて
行くものと夢見ていた恋だった

やり終えた後の脱力感の花火
どんなに熱い炎でも再燃出来ない
時間切れで おやすみを告げる恋を
ただ黙って見送っていた


もう違う夢の入口が覗いている
恋の火傷がまだ癒えない朝焼け空に
消え行く恋 何を残す訳でなく
ただ痛みだけ 残していた


*SONG for 涌井田 朱子
 
 
2010/8/27 23:42

▼彩 愛 美D
木漏れ陽の中の幻影
 
あの日の交差点であなたを見かけたわ
私に気付かずに車の陰を通り過ぎる
あんなにも楽しそうな笑顔を浮かべて
肩を抱いて歩くきれいな人は誰?

たぶん私の勘違いでたまたま似た人と
目の前で偶然に出くわしただけよ

目の前の赤信号を振り切ってでも
今直ぐに確かめに行きたい気持ち
この不安を誰か否定してよ


夏の木漏れ陽の幻影が怪しく揺れ
私が一番見たくない像を映し出して
こんなにも心を砕いて行くなんて
太陽のせいじゃなく眩しい人は誰?

知りたくない嘘の間違い探しの答え
目の前に突き付けられた決定打ね

目も眩むような陽射しに気を失って
あなたの後を追い掛けて行けなくて
この気持ちを誰か拾ってよ


情けないくらいブルーな空
秘密さえ隠さないオープンな空


木漏れ陽噎せ返す熱気の中で
あなたの愛を探せなくなってしまう
この幻影誰か掻き消して


*SONG for 川島 麗美
 
 
2010/8/23 23:30

▼彩 愛 美D
西町へ…
 
何時も通りにバスが 西町へ着く
港から続く 川沿いの道
変わりようもない 住宅街

しばらく振りに来たこの道
あれからもう何年も経ったけど
あの日のままの景色が拡がる

ほら君の家が見えて来る
もう君は居ないはずなのに
君の歌が聴こえて来る


花火大会の夜は 浴衣姿
港では人が 溢れかえって
のんびり花火も 見れないよね

君の部屋の窓いっぱいに
花開いたたくさんの花火達
あの時の景色忘れられなくて

ふと君の家を想い出す
もう君に逢えない家でも
この街に帰って来た


懐かしい言葉が 飛び込んで来る
途端に時間の流れが変わる
あの頃の自分に不意に連れ戻される


バスが西町に 着いたから
川沿いの道に君の家
夏の歌が聴こえて来る


*SONG for AURORA
 
 
2010/8/20 23:31

▼彩 愛 美D
Surf Break
 
空のトマトが朱く滲んで
夕焼けを残して海に沈む
帰る場所探して歩いて来たけれど
今夜もう帰れる場所が無い

空を焦がした炎は瞬く間に消えて
直ぐに燃え尽きて墨になってしまう

挫けた心を支えてくれる足は
もう一歩だって前に進めはしない
今夜はこのままこの海に抱かれて
波の音のように砕けてしまえ


開いたパイプが閉じる前に
急いでくぐり抜け出さなければ
珊瑚のナイフにこの身を晒してしまう
危険と解っても避けられぬ道

月と太陽と星が巡る空と海で
何度も出逢って別れを繰り返す

アキアキしちゃうくらい愛してよ
もう一度だけでもいいから戻りたい
砕け散る波のその前の時まで
引き波の幸せ逃げ込めるなら


切に願う波はなかなか来ないけれど
今ある波を見逃したりは出来ない


見送り手放した波は戻らない
悲しむだけでは前に進めはしない
次に訪れる大波捕まえて
乗り越えて明日の波を探そう


*SONG for 涌井田 朱子
 
 
2010/8/9 23:09

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