彩 愛 美 詩歌集

過去ログ199 2015/3/25 23:12

▼彩 愛 美
隠 桜


月下狂乱に 咲き誇ろべば
病むに病まれぬ 恋に病む
一途な想い 一縷の望みを託す
恋は本当に 声にならない

咲く花の限り 見た目の美しさ
その陰に潜む 努力も知らずに

名ばかりの蘖に 隠る涙の
心情の真意にも 気付けぬまま
桜は天晴れと 咲き示して


鏡花水月に 散り初めるそぼろ
解くに解けない 愛を説く
空ろな心 俯き頷く小首
恋は早春の 東風に飛ばされて

散る花の限り 見て見ぬ素振りに
泣き喚きたいと 胸の内隠して

名を棄てる嫋やかさに 倒るるまま
一時的な意気地 幾重にも纏い
桜はしなやかに 散り示して


夢は春朧に覚え無き そぼ雨の雫
問えど樋無き 凍水の行方知らず


名も告げず 夏草に消える踵
今善き時と 今宵の月に酔って
桜はひっそりと 立ち示して






2015/3/25 23:12
HP

▼彩 愛 美
一人がいい

始まりは
小さな出逢いだった
出逢う事から
会話が生まれ
友達の数も増えた

出来る事も
行動半径も
日を追う毎に増えて行き
好奇心の実は膨らみ
毎日新しい出逢いが
楽しい日々だった

何時からだろう?
だんだんと個人個人の
主張が顔を出して
何処かで噛み合わなくなって
小さないざこざが
幾つも発生して来た
大きく育ち過ぎた組織が
悲鳴を上げて
崩れ始めた

ただの寄せ集めの組織も
奪われた自由を求めて
それぞれの道へと
分散して行った
こんな事なら
一人がいい
最初のままで居た方が
自由で居られた

一人がいい
一人がいい
でも一人は淋しくて



2015/3/23 22:24
HP

▼彩 愛 美
八 重 桜


想いを綴った 記録台帳も
もうこんなに 厚くなったのに
残りの余白も 後少しで終わる
それだけ想いを 積み重ねて来た

卒業を間近に控えて 蕾む想いは
八重に花咲く 新しい旅立ちへの夢

これを機に 新しくなる毎日を
残して行く 真新しい台帳の
まだ貼られていない 最初の一枚を
八重に咲かせる 日も近い


切り貼りにされた 想い出の数々
前後左右 入れ替わって行く
記憶と記録の 温度差を感じる
時々振り向き 確かめて来た

結末を飾るに 相応しい一枚を探す
明日に花咲く 気〆の言葉に代えて

今が期と 熱くなる胸の想いを
深く刻む 絵時計に映し出す
これまでに歩いた道と これからの道
八重に咲かせて 木も漫ろ


千代に八千代に 繋ぐ想い花
ここで終わってもまた ここから始まる花物語


次の気を 互いに刻む徒然は
語り明かすも 楽しみだと言うもの
どう貼り付けるのか 夢見る一時に
八重に咲き立つ 春日へと





2015/3/18 23:12
HP

▼彩 愛 美
子宮外知的生命体

広い宇宙の中の 狭い宇宙の中に
引き籠っていても
誰かに逢える訳も無い事など
解ってはいても

自分の子宮から 生まれて来たものが
唯一の知的生命体だと
言う訳でもあるまいに
単一生殖機能だなんて
持ち合わせしても無く

子宮を持つ自分達だけが
特別に選ばれた種族だと
言い切れる自信など無く
種蒔く異種生命体の存在
否定なんて出来はしない

でもだったらどうして
今居るこの宇宙以外に
知的生命体が居ないと
断言出来るのだろうか
自分を生み出したのが
単細胞種だったにせよ
そこから自分の子宮が
創り出されただなんて
想えはしないのだから
別の子宮の存在だって
創り出せる違う宇宙も
必ず何処かに存在して
違う知的生命体もまた
生まれて来るのだろう


2015/3/15 22:48
HP

▼彩 愛 美
新 地


城下町の静かな佇まいを歩いた
慣れない砂利道に ヒールを取られながら
自分の力量以上に 無理に背伸びをして
倒れそうになる 自分の今の姿に似ていた

何かを求めて この旅に出てはみたけど
それが何かも 解らないままに

旅の中で触れ合う 人達の心の暖もり
都会の慌ただしさに 忘れて行く優しさ
自分にゆとりが 持てなくて
何もかもが 見えなくなっていた頃よ


日に何本しか無いような 単線の無人駅
小さいながらも 賑わい見せる目抜通り
大き過ぎる夢を見ていて 無駄に疲れていた
それが何となく 解り始めたと想えて来た

この町でしばらく 過ごしてみようと想う
自分サイズの 夢を掴むまで

旅を止めてしばらく この町で生活してみる
人気とか流行りとかに 流される事の無い
日々の生活に 根付いている
在り来たりの 何処にでもある風になる


つまらない見栄だとか 意味の無い意地だとか
ただ自分を無駄に 疲れさせるだけ


今はここで暮らして 本当の気持ち確かめて
嘘偽りの無い 笑顔に戻れる時まで
私に帰れる 部屋なんて
無いつもりで 生きてみたくなっただけよ





2015/3/12 5:50
HP

200198

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