彩 愛 美 詩歌集

過去ログ206 2015/8/20 22:40

▼彩 愛 美
偽りの砂時計

ザラついた雨が 記憶の欠片の全てを
流してくれたなら 良かったのにね
鋭利に尖って 心に刺さる針の雨でも
消し去る事なんて 出来ないのね

出逢った時から 重ねた時間は
最初から 間違いだったとでも言うの

刻んで来た想い出は 霧のように
何も残さずに 晴れてしまう
まるで偽りの砂時計の 時間の中で


軽い吐き気の中 何度も席を後にした
流れる水の音 ぼやけた頭
気絶する程に 遠くに飛ばされそうな苦痛
気持ち良く 倒れてしまえばいい

目覚めた時には 全て夢だったと
自分に無理矢理 納得させられるから

リアルな疑似体験記 読んだ後の
我が身に置き換え 役にハマる
そんな偽りの砂時計の 眠りの中で


フラスコの中を全部 星の砂に換えられたら
この儚い望みも 叶うのでしょうか


刻んで来た時は もう戻せなくて
過去と言う傷 引きずるだけ
みんな偽りの砂時計の 未来の中で




2015/8/20 22:40
HP

▼彩 愛 美
偽 善 者

人が
偽善者で居たいのは
自分が この世界で
不幸な人間だと
想いたくはないから

誰かのために
何の見返りも無く
手を差し伸べるのは
自分の方が
優位である事を
何処かで
感じて居られるから

今ある生活が
幸せの中にあって
少しであるにせよ
ゆとりがあると言う事を
自覚して居ないと
自分が不幸な人間なんだと
気付いてしまうのが
怖いだけなんだと

こんな時代
何が起きたって
不思議じゃない
何時立場が逆転するのか
解ったものじゃない

人が
偽善者で居たいのは
自分が この世界で
幸せを失った人間なんだと
知りたくもないから


2015/8/16 21:38
HP

▼彩 愛 美
永遠の他人

列席者の 一人になって
喪主にもなれず モトカノでもなく
ただの友達にさえ なれずに
同級生の一人として ここに居る

もう生きて想いを 伝える事も出来ない
まだ別れた時からの 仲直りも出来ないまま

式次第と共に 流れて行く想い出
二度とは繋げない 扉の向こう側に
見送ればこれで 永遠の他人になるわ


礼笛に出る 車が行けば
これ以上ここに 居られるはずもなく
みんな散り散りに 帰り支度
その程度の一人ならば 仕方ない

これからの未来を 語り合える日も来ない
未完のままで消えて行く 過去の出来事として

アルバムの中で 停まったままの時間
そこから一歩だって 進めない壁がある
解って居たの 永遠の他人になると


何処にも行けない 迷子の心の道標
崩れ落ちた橋の 先へはもう進めはしないから


更新されずに 埃塗れの日記
もう開くのを止めようと 硬く決意した
覚悟を示せば 永遠の他人で終わる





2015/8/5 23:25
HP

▼彩 愛 美
男女同権
何処かの 社会団体が
必死になって 叫ぶ
同じ人間なんだから
同じ権利 をってね

ジョーダンじゃないわ

体だって
精神だって
まるで違う生物
同じ権利をだなんて
考えられない
同じように 働いて
同じ額の 給料を得て
男でも 女でも 無くなる

同じ権利を
手に入れる代わりに
特権を失ってしまう
優遇なんて もう
してはもらえなくなる

食事だって
おごってもらえない
仕事だって
手伝ってもらえない
ドライブだって
助手席ばかりでは 居られない

同権なんて 要らないなから
もっと 優しく
手を 差し伸べて
もっと たくさん
特権を ちょうだい

2015/8/3 22:12
HP

▼彩 愛 美
Rainy Station

雨の駐車場で エンジンを停めて
あなたが乗った 電車を待っていた
はっきりとこの電車だと 解らないけど
それでも一人で 待っていた

フロントグラスの 雨垂れ越しに
ぼんやりと駅から 出て来る人の流れの中に
ずっとあなたを 探し続けた

こうして見ているだけで 様々な人達が通る
この駅にも この人の数と 同じだけの
ドラマがきっと あるのだろう


切に想う気持ちから 駅までの道を
あなたの顔が ただ見たくて走らせた
雨の道が苦手なんだって 事も忘れて
気が付けば駅まで 辿り着く

音の無い車の中で あなたを
好きになった理由を 最初から想い返しては
今日までの歩みを 数えた

ぼんやりしている時間 何かに心を奪われずに
思考回路全て あなたの事だけになる
頭がパンクして しまう程に


こうして何時間… 待ち続けたのだろう…
その内疲れてつい 眠ってしまっていた


不意に窓を叩く音に 起こされて顔を上げた
そこには笑顔で立っている あなたが居たわ
嬉し過ぎて 泣き出しそうよ



2015/8/3 22:11
HP

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